複素数の加減乗除を複素平面上で考える.
k倍(実数倍)
\(Z_1=a+bi\) という複素数を\(k(k>0)\)倍すると,数式では\(Z_2=kZ_1=k(a+bi)=ka+kbi\)となる.絶対値はどのように変化するかというと,
$$|Z_1|=\sqrt{a^2+b^2}$$
$$|Z_2|=\sqrt{(ka)^2+(kb)^2}=\sqrt{k^2(a^2+b^2)}=k\sqrt{a^2+b^2}=k|Z_1|$$
大きさは\(k\)倍となります.\(k>1\)のときはもとの大きさより大きくなり,\(k<1\)の場合は小さくなります.
いま,\(Z_1(2,2)=2+2i\)を,図1は\(Z_1\)を複素数平面上に図示しています.
fig_k-crop図1.複素数と複素平面
\(Z_1\) を\(2\)倍したものを,\(Z_2\)すると\(Z_2=2\times Z_1=4+4i\)となりますね.絶対値は\(|Z_2|=2|Z_1|\)となります.\(Z_2(4,4)\)の複素平面上の位置は下の図の赤丸で示されています.これは,\(Z_1\)を示している矢印の延長線上に存在していることがわかります.
図2.複素数の\(k\)倍
虚数単位\(i\)を掛ける
では,虚数単位である\(i\)を乗じるとというのはどういう意味があるのでしょうか.
\(Z_1=a+bi\) に\(i\)を乗じてみます.\(Z_2=iZ_1=i(a+bi)=ai+b(i)^2=-b+ai\) となります.\(Z_1\)と\(Z_2\)の位置関係はどうなるでしょうか.複素平面上で線分\(\overline{OZ_1}\)と\(\overline{OZ_2}\)のなす角が90度になっていることがおわかりですか.それぞれの直線の方程式を導き出して,傾きを調べると原点\(O\)で直交していることがわかります. これは,点\(Z_1\)が原点回りに90度回転したとも見ることができます.
fig_3k-crop図3.半時計回りに90度回転
さらに\(i\)倍してみる
図3に示している\(Z_3\)に\(i\)を乗じてみる.これは\((Z_1)\times i^2\)を行っていることである.\(Z_3\)の座標を求めるために\(Z_3=Z_2i\)を計算してみる.\(Z_2i=(-b+ai)i=-bi+ai^2=-a-bi\) よって\(Z_3\)の座標は\((-a,-b)\)であることがわかる.これは\(Z_1\)の原点を対称とする位置にあり,線分\(\overline{OZ_1}\)を第三象限方向に延長する線分上に存在する.原点からの距離は\(1\)である.複素平面上で\(-1\)倍を考えると180度回転の作用を行うことになる.
fig_4k-crop図4.\((Z_2)i\)を図示したもの
回転のまとめ
まとめると,「\(i\)を掛けると原点を中心とし半時計回りに90度回転」し,「\(-1\)を掛けると原点を中心んとし半時計回りに180度回転する」というのが複素数における演算の幾何学的意味ですね.
初期位置として点\(P\)が実軸上に配置されていたします.\(P(a,0),a>0\) ,これに\(i\)を乗じると点\(P\)は虚軸上に移りますね(90度回転).\(P(0,a)\)ですね.これにもう一回\(i\)を乗じると実軸上に移動(90度回転)します.
これまで学習してきた,計算と一致しませんか.負の数を乗じると符号が変わると. そうです,「(正の数)\(X\)( 負の数)=(負の数)」,「(負の数)\(X\)( 負の数)=(正の数)」,なんか面白いと思いませんか.
原点回りでの回転の様子を図5にしめしいます.
fig_rotate-crop複素数の加算
複素数同士の加算は実部と虚部をそれぞれ足し合わせる,という約束がなされている.
$$(a+bi) + (c+di)=(a+c)+(b+d)i$$
具体的な例として
$$(4+2i)+(1-3i)=5-i$$
について図を書いて考察してみましょう.
\(Z_1=4+2i,Z_2=1-3i,Z_3=5+i\)として,複素平面上に点を記入してみます.それぞれ,黒,赤,青で色分けしています.これが図1です.
fig_addition-1-crop図6.\(Z_1, Z_2, Z_3\)の複素平面上の位置
それぞれの点へ原点から矢印を引いたものを図7に示しています.
fig_addition-2-crop図7.矢印による標記
\(Z_2\)の始点(原点)を\(Z_1\)の終点へ平行移動すると,\(Z_2\)の終点が\(Z_3\)の終点と一致しますよね.図8.です.これが複素数の演算における加算の幾何学的(図形)による意味付けです.これはベクトル(2年生で学習?)演算との類似点がありますね.
fig_addition-3-crop複素数同士の掛け算
単純に\(i\)を掛けるのではなく,\(Z_1=a+bi\)と\(Z_2=c+di\)の掛け算が複素平面上でどのように表現できるかを考えていきましょう.
$$Z_1\times Z_2 = (a+bi)(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i$$
ですね.これを複素平面上に表現するのは,私にとっては困難なので,複素数を別な表現で表すことにしましょう.
極座標表示
いま複素数\(P(a,b)=a+bi\)の表現を実軸と虚軸の位置を用いた表現ではなくて,原点からの距離(絶対値)と実軸とのなす角度で表現することを考える.図9をご覧ください.原点からの点\(P\)までの距離を\(r\)とし,この線分が実軸とのなす角度を\(\theta\)する.点\(P\) の実軸と虚軸の値はそれぞれ\(r\cos\theta\)は\(r\sin\theta\)と表現できる.
数学では実軸と虚軸の名称をデカルト座標系にならってそれぞれ\(x\),\(y\)と表すことが多いので,ここでもそれに従うとする.そうすると\(P(x,y)=P(r\cos\theta, r\sin\theta)\)は\(x=r\cos\theta, y=r\sin\theta\)と書ける.
fig_polar_1-crop図9.複素数の座標表現を絶対値とx 軸とのなす角度で表現
いま,2つの複素数\(Z_1=r_1\cos\alpha+r_1\sin\alpha i\)と\(Z_2=r_2\cos\beta+r_2\sin\beta i\)の積を考える.
$$Z_1Z_2=(r_1\cos\alpha+r_1\sin\alpha i)(r_2\cos\beta+r_2\sin\beta i)$$
$$右辺=r_1r_2(\cos\alpha+\sin\alpha i)(\cos\beta + \sin\beta i)$$
$$=r_1r_2(\cos\alpha \cos\beta + \cos\alpha \sin\beta i + \sin\alpha \cos\beta i + \sin\alpha \sin\beta i^2)$$
$$=r_1r_2{(\cos\alpha \cos\beta – \sin\alpha \sin\beta)+(\cos\alpha \cos\beta + \sin\alpha \sin\beta)i}$$
これより
$$Z_1Z_2=r_1r_2(\cos(\alpha+\beta)+\sin(\alpha – \beta)i)$$
となることが証明できれば
(続きは,この週末に,,,.)
