恒等式と等式の証明

未知数\(x\)の恒等式:\(x\)にどんな値を代入しても成立する等式
等式\(A=B\)の証明方法は3つ.
では,問題の解説に入っていきます.

問題83 係数を見出す問題

係数を見つける問題の解き方は,

1.左辺と右辺で次数の同じ\(x\)の係数が同じ値,を利用

2.\(=0\)の形にして,全ての係数が\(0\)という性質を利用

(1)

(アプローチ1)

\(x\)に関して同じ次数の係数を比較して

\(3=b,a=5,1=c\)が求まる.整理して\(a=5,b=3,c=1\)

(アプローチ2)

左辺に集める.\(3x^2+ax+1-(bx^2+5x+c)=0\)

整理して.\((b-3)3x^2+(a-5)x+(1-c)=0\)

恒等式という条件より,\(b-3=0,a-5=0,1-c=0\)である.これを解いて

\(a=5,b=3,c=1\)

問題84  計算が簡単になるような工夫が求められている問題

(1)

(アプローチ1)計算は複雑になるが丁寧にやっていけば解ける方法

右辺\(=a(x+1)(x+2)+b(x-1)+c=a(x^2+3x+2)+bx-b+c\)

  \(=ax^2+(3a+b)x+(2a-b+c)\)

右辺の係数を比較して

\(a=2 \cdot\cdot ①\)

\(3a+b=3 \cdot\cdot ②\)

\(2a-b+c=6 \cdot\cdot ③\)

これを解きます.①を②式に代入する.\(3\times 2+b=3\) より\(b=-3 \cdot\cdot ④\)

①と④を③式に代入する.\(2\times 2-(-3)+c=6\) より\(c=-1\)

計算は予想したより簡単でしたね.

(アプローチ2) 

『\(x\)にどんな値を代入しても成立する』という性質を利用する方法.

・両辺に\(x=1\)を代入する(\(b\)を消去できる)

 \(2\times (1)^2+3\times (1) + 6 = a\times (1+1)\times (1+2) +b\times (1-1)+c\)

整理して

\(11=6a+c \cdot\cdot ①\)

・両辺に\(x=-1\)を代入する(\(a\)を消去できる)

\(2\times (-1)^2+3\times (-1) + 6 = a\times (-1+1)\times (-1+2) +b\times (-1-1)+c\)

\( 5 = -2b +c  \cdot\cdot ②\)

・両辺に(x=-2)を代入する(未知数は3つなので条件式がもう一つ必要)

\(2\times (-2)^2+3\times (-2) + 6 = a\times (-2+1)\times (-2+2) +b\times (-2-1)+c\)

\( 8 = -3b+c \cdot\cdot ③\)

②\(-\)③ より \(b=-3\) \(b\)の値を②式へ代入して \(c=-1\)

\(c\)の値を①式に代入して\(a=2\)

よって求める\(a,b,c\)の値はそれぞれ\(a=2,b=-3,c=-1\)

(2)

右辺を展開して整理します.

右辺\(=(x^2+bx+2)(x+c)=(x^2+bx+2)x+(x^2+bx+2)c\)

  \(=x^3+(b+c)x^2+(2+bc)x+c\)

左辺の係数を比較して

\(b+c=3 \cdot\cdot ①\)

\(2+bc=4 \cdot\cdot ②\)

\(2c=a \cdot\cdot ③\)

①より \(b=3-c \cdot\cdot  ④\)

②式より \(bc=2\),これに④を代入する

\((3-c)c=2\) これを解いて,\(c=2, c=1\)

・\(c=2\) のとき

③より\(a=4\),①より\(b=1\)

・\(c=1\) のとき

③より\(a=2\),①より\(b=2\)

よって,求める\(a,b,c\)の値はそれぞれ\(a=4,b=1,c=-2\)と\(a=2,b=2,c=1\)

問題85 両辺の分母を揃えると,分子にある式だけに着目すれば良い

(1)

右辺\(=\displaystyle{\frac{a}{x-1}+\frac{b}{x-3}=\displaystyle{\frac{a(x-3)}{(x-1)(x-3)}+\frac{b(x-1)}{(x-3)(x-1)}}}\)

  \(=\displaystyle{\frac{a(x-3)+b(x-1)}{(x-1)(x-3)}}\)

  \(=\displaystyle{\frac{(a+b)x+(-3a-b)}{(x-1)(x-3)}}\)

分子の係数比較を行うと

\(a+b=0,-3a-b=1\)これを解いて,\(a=-\displaystyle{\frac{1}{2}},b=\displaystyle{\frac{1}{2}}\)

(2)

両辺の分母を眺めると\(x^3-1\)で揃えられることが分かる.

右辺の分子\(=a(x^2+x+1)+(bx+c)(x-1)\)

     \(= (a+b)x^2+(a-b+c-8)x+a-c-1\)

係数を比較して

\(a+b=0\)

\(a-b+c=8\)

\(a-c=1\)

これを解いて \(a=3,b=-3,c=2\)

問題86 等式の証明

等式(\(A=B\))の証明,方法は3つ.

1.\(A\)から\(B\)を導き出す.(\(A \Rightarrow B\))

2.\(B\)から\(A\)を導き出す.(\(B \Rightarrow A\))

3.\(A-B=0\)を導き出す

右辺\(=(x+y)^3-3xy(x+y)=(x^3+3x^2y+3xy^2+y^3)-(3x^2y+3xy^2)\)

  \(=x^3+y^3)\)

∴ 左辺\(=\)右辺

問題87

『(A-B=0)を導き出す』の応用ですね.まず\((左辺-右辺もしくは逆\)から\(P\times Q\)と式変形をおこなって\(PかQ\)が条件式\(a+b+c=0\)になっていれば(A-B=0)が証明できますね.

与式より 左辺\(-\)右辺として

\(a^2+ac-b^2-bc=(a-b)(a+b)+(a-b)c=(a-b)(a+b+c)\)

\(a+b+c=0\)より\((a-b)(a+b+c)=0\)である.

よって,左辺\(=\)右辺

問題94

(1)

右辺\(=b(x+1)^2+c(x+1)=bx^2+2bx+b+cx+c\)

  \(=bx^2+(2b+c)x+b+c\)

左辺の係数を比較して

\(b=2\)

\(2b+c=3\)

\(a=b+c\)

これを解いて \(a=1,b=2,c=-1\)

(2)

両辺の分母を\((x+1)^2\)に揃えることができる.

左辺\(=\displaystyle{\frac{3x-1}{(x+1)^2}}\)

右辺\(=\displaystyle{\frac{a(x+1)}{(x+1)^2}+\frac{b}{(x+1)^2}}=\displaystyle{\frac{ax+a+b}{(x+1)^2}}\)

分子の係数を比較して

\(a=3\)

\(a+b=-1\) これより\(b=-4\)

求める\(a,b\)の値は \(a=3,b=-4\)

問題95

(アプローチ1)

1の3乗根の虚数解の一つを\(\omega\)とすると

\(\omega^3=1\)
\(\omega^2 + \omega +1 =0\)
\(\omega^2=\omega\)
\(|\omega|=1\)

使えるように覚えておきましょう.

左辺\(=(x^3+1)(x^2+x+1)=(\omega^3+1)(\omega^2+\omega +1)=0\)

右辺\(=(x+1)(x^4+x^2+1)=(\omega+1)(\omega^4+\omega^2+1)\)

ここで,\(\omega^4+\omega^2+1=\omega^3\times \omega + \omega^2 +1=\omega^2+\omega +1=0\)

よって右辺\(=0\)

∴左辺\(=\)右辺

(アプローチ2)

両辺を展開して同じになることを示す.

左辺\(=(x^3+1)(x^2+x+1)=(x^2+x+1)x^3+(x^2+x+1)\)

\(=(x^5+x^4+x^3)+(x^2+x+1)=x^5+x^4+x^3+x^2+1\)

右辺\(=(x+1)(x^4+x^2+1)=(x^4+x^2+1)x+(x^4+x^2+1)\)

\(=x^5+x^3+x+x^4+x^2+1=x^5+x^4+x^3+x^2+x+1\)

∴左辺\(=\)右辺

問題96

(アプローチ1)

左辺の式を変型し右辺に誘導することにチャレンジします.

左辺\(=(x+y)(y+z)(z+x)=(xy+xz+y^2+yz)(z+x)\)

  \(=(xy+xz+y^2+yz)z+(xy+xz+y^2+yz)x\)

  \(=xyz+xz^2+y^2z+yz^2+x^2y+x^2z+xy^2+xyz\)

  \(=(y+z)x^2 + (2yz+z^2+y^2)x+yz(y+z)\)

  \(=(y+z)x^2 + (y+z)^2x+yz(y+z)\)

ここで,条件\(x+y+z=0\) より \(y+z=-x\)が得られ,これを上式に代入する.

左辺\(=(-x)x^2 + (-x)^2x+yz(-x)=-x^3 + x^3-xyz\)

  \(=-xyz\)

よって,左辺\(=\)右辺

(アプローチ2)

条件式\(x+y+z=0\)より,\(x+y=-z,y+z=-z,z+x=-y\) を得る.これを左辺に代入する.

左辺=\((x+y)(y+z)(z+x)=(-x)(-z)(-y)=-xyz\)

よって,左辺\(=\)右辺