集合と命題のこの学習項目はこれまでの数式を取り扱うものとは違って,「論理思考」を要求されるものです.慣れるまでに,少し時間を要するかと存じます.
教科書にも説明が書かれていると思いますが,ここにまとめておきます.

・集合とは物の集まりで,その物の範囲の表現に曖昧さがありません.
・\(P=\{1,2,3,4,5\}\)のように表現します.
\(P\)は集合の名称
\(\{1,2,3,4,5\}\)は集合を構成する物(要素)です
\(A=\{x|1< x < 6\}\) という表現法もある.
\(|\)の左側:\(x\)は要素の名称
\(|\)の右側:要素の条件を記述

集合の包含関係
\(P\subset Q\):\(P\)の要素がすべて\(Q\)に属している.
\(P=Q\):集合$P$の要素と集合$Q$の要素が同じ場合.
集合の図形表示例
fig_ven-inclusive-crop集合\(P\)が集合\(Q\)に内包されている(\(P\)は\(Q\)の部分集合である.).
問題115

自然数は\(1,2,3,\cdots\)で\(0\)は含みません.
\(A=\{x | x^2 \ge 9\}=\{3,4,5,6, \cdots\}\)である.
集合関係をVen図で表すと次のようになります.
fig_115-cropよって,求める解は\(\overline{A}=\{1,2\}\)
問題116
\(U=\{x|xは10以下の自然数\}=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}\),「以下」,「以上」はそれを含みます.
\(A とB\)を平たく記述すると
\(A=\{1,3,5,7,9\}\),\(B=\{x|3 \le x \le 8\}=\{3,4,5,6,7,8\}\)
(1)\(A \cap B\)
\(\cap\)は共通部分である.Ven図では次のようになる.
fig_116-1-cropよって,\(A \cap B = \{3,5,7\}\)
(2)\(A \cup B\)
\(\cup\)は和集合を表しますから,Ven図では次のようになります.
fig_116-2-cropよって,求める\(A \cup B = \{1,3,4,5,6,7,8\}\)
(3)\(\overline{A \cap B}\)
(1)で求めた集合の補集合です.よって\(\overline{A \cap B} = \{1,2,4,6,8,9,10\}\)
(4)\(\overline{A} \cap \overline{B}\)
\( \overline{A} = \{2,4,6,8,10\}\) \(A\)は奇数なので\(\overline{A}\)は偶数ですね.
\(\overline{B}=\{x|x < 3 かつ x >8\}=\{1,2,9,10\}\)
よって,求める\(\overline{A} \cap \overline{B}=\{1,2,4,6,8,9,10\}\)
問題117
\(\overline{(\overline{A} \cap \overline{B})\cup \overline{C}} = (A \cap B)\cap C\)の証明
\(\overline{A} \cap \overline{B} = X\)とおく.
左辺\(=\overline{X \cup \overline{C}}=\overline{X} \cap \overline{\overline{C}}=\overline{X} \cap {C}\)
\(X\)を元に戻して
\(=\overline{(\overline{A} \cap \overline{B})} \cap {C}=(\overline{\overline{A}} \cup \overline{\overline{B}}) \cap C = (A \cup B) \cap C\)
問題118
(1)
\(x^2 > 1\)は\(x>1,x<-1\)なので\(x=-2\)の場合でも\(x^2 > 1\)は成立するが,\(x>1\) を満たさないので「偽」である.
(2)
\(x^2 < 1 \Leftrightarrow -1 < x <1\) である.この範囲内から取ってくるの\(x\)の値は\(x < 1\)なので「真」である.
問題119
必要条件と十分条件の見分け方は,数学こぼれ話の必要条件と十分条件に書いておきました.参照して下さい.
(1)
前提条件\(p\)は\(x^2=4\)で,これを表す集合\(P\)は\(P=\{-2,2\}\)である.
結論は\(q\)は,\(Q=\{2\}である.
\(P \subset Q\)は成立しないが,\(Q \subset P\)は成立するので,
\(x^2=4\)は\(x=2\)のための必要条件である.
(2)
必要条件と十分条件に書いています.
(3)
「\(n\)は4の約数」は前提条件\(p\)でこれの集合は\(P=\{1,2,4\}\)である.「\(n\)は8の約数」は結論\(q\)で,この集合は\(Q=\{1,2,4,8\}\)である.
\(P \subset Q\) なので\(p \Longrightarrow q\)は真である.一方,\(q \Longrightarrow p\)は偽である.
よって,「\(n\)は4の約数」は「\(n\)は8の約数」のための十分条件である.
(4)
2等辺三角形は前提条件\(p\),正三角形は結論で\(q\)である.正三角形は2等辺三角形の一部である.
\(p \Longrightarrow q\)は成立しないので偽であるが,その逆である\(q \Longrightarrow p\)は成り立たつので真である.
よって,2等辺三角形は正三角形であるための必要条件である.\(Q \subset P\)ですね.
問題120
題意より\(U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9,10\}\)とする.いま,命題条件を \(p:n > 3\)とするとその集合は\(P=\{4,5,6,7,8,9,10\}\)である.ここでその否定は\(\overline{p}=n \le 3\)である.\(\overline{p}\)の集合は\(P\)の補集合となることから,\(\overline{P}=\{1,2,3\}\)となる.
問題121
(1)
\(p:x=-1,q:x=1\)とすると「\(p\)または\(q\)」 は論理記号を用いて \(p \vee q\) と書ける.この否定はド・モルガンの定理を使って,
\(\overline{p \vee q}= \overline{p} \wedge \overline{q}\)
である.
\(\overline{p}\) は\(x \ne -1\),\(\overline{q}\)は\(x \ne 1\)
よって,求める解は「\(x \ne -1\) かつ \(x \ne 1\)」である.
(2)
\(x > 0\)を\(p\),\(y > 0\)を\(q\)とすると,「\(x > 0\)かつ\(y > 0\)」は \(p \wedge q\)と書ける.この否定はド・モルガンの定理を使うと
\( \overline{p \wedge q}= \overline{p} \vee \overline{q} \)
である.ここで,\(p\)と\(q\)をもとにもどして,\(\overline{x > 0}\) は \(x \le 0\),\(\overline{ y > 0} \) は \(y \le 0\) である.「\(x \le 0\) または \(y \le 0\)」が求める解である.
よって,
問題122
定義にしたがって1つづつ丁寧に行っていくのが最良の方法でしょう.定理や定義などはしっかり理解して覚えておきましょう.数学は暗記ではありませんが,理解して覚えておくことは重要です.そのためには演習問題を解くことは重要です.
(1)
\(p\)を\((x-1)(x-2)=0\),\(q\)を\(x=1\)とする.
\(p \rightarrow q\)の
・逆は \(q \rightarrow 0\) となります.
よって,「\(x=1\)ならば\((x-1)(x-2)=0\)」結論は\( (x=1 or x=2)\)とも記述できます.
・『裏』は \(\bar{p} \rightarrow \bar{q}\) となります.
よって,\((x-1)(x-2) \ne 0 \rightarrow x \ne 1\)
・『対偶』は,\(\bar{q} \rightarrow \bar{p}\) となります.
よって, \( x \ne 1 \rightarrow (x-1)(x-2)\ne 0\) となります.
解答はこのような記述で終わっていますが,少し検討を加えてみましょう.
\(p\)を満たす集合を\(P\)とすると\P=\{1,2\}\)とかけますね.つまり\((x-1)(x-2)=0\) を解くと\(x=1,=2\)
です.この「,」は「または」とか「いずれか」の意味ですね.論理記号で書くと\(x=1 \vee x=2\) です.この否定は\(\overline{x=1 \vee x=2} = \overline{x=1} \wedge \overline{x-2} = (x \ne 1)\wedge (x \ne 2)\)
\((x-1)(x-2) \ne 0 \iff (x \ne 1)\wedge (x \ne 2)\)
【注意】\(\iff \)は同値を意味する記号
(2)
\(x > 0 \wedge y >0\) を\(p\)とし,\(x+y > 0\) を\(q\) とする.
\(p \rightarrow q\)の
・『逆』は \(q \rightarrow p\)
\(x+y>0\) ならば \(x > 0 かつ y >0\)
・『裏』は \(\bar{p} \rightarrow \bar{q}\)
\(\overline{x+y>0}\) は\(x+y \le 0\)
・『対偶』は\(\bar{q} \longrightarrow \bar{p}\)である.
\(\bar{q}\) は \(\overline{x+y > 0} \Longrightarrow x+y \le 0\)
\(\bar{p}\) は \( \overline{x>0 \wedge y>0} \Longleftrightarrow \overline{x>0} \vee \overline{y>0} \Longleftrightarrow (x \le 0) \vee (y \le 0)\)
よって,求める命題の対偶は \( x+y \le 0 \longrightarrow (x \le 0) または( y \le 0)\)
問題123
与えられた命題「\(xy < 0\)ならば \(x > 0\) または\(y>0\)である.」 を記号を用いて記述する.
\(p\) を \(xy < 0\) とする.
\(q\) を \(x > 0 \vee y>0\) とする.
与えられた命題の対偶は \(\bar{q} \longrightarrow \bar{p}\)
\(\bar{q}\) は \(\overline{x > 0 \vee y>0} \Longleftrightarrow (\overline{x>0}) \wedge (\overline{y>0}) \Longleftrightarrow (x \le 0) \wedge (y \le 0) \)
\(\bar{p}\) は \(\overline{xy < 0} \Longleftrightarrow xy \ge 0\)
\((x \le 0) \wedge (y \le 0) \longrightarrow xy \ge 0\) は真である.なぜなら \(P=Q\)
よって,与えられた命題「(xy < 0)ならば (x > 0) または(y>0)である.」 は真である.
