集合と命題の単元の項目で問題集で取り扱われている内容ではやや不十分な印象を受けるので解説と補足の演習問題をここに掲載しておきます.
ド・モルガンの法則の覚え方
\(\cup\)を\(\cap\)に変更して補集合の記号で繋がっているものを切り分ける.\(\overline{A\cup B}\)
で\(\cup \rightarrow \cap\)として\(A\)と\(B\)を分割する.結果,\(\overline{A\cup B} =
\overline{A} \cap \overline{B}\)
\(\overline{A \cap B}\)も同様である.
集合に関する幾つかの問題
問: 全体集合\(U=\{1,2,3,4,5,6,7,8,9\}\)とする.集合\(A=\{3,4,6,7\}\), \(B=\{1,3,6\}\)とする.次の問に答えなさい.
(1)\(A \cup B\)を求めなさい.
解:集合\(A\)と集合\(B\)の和集合なので,求める和集合は\(A \cup B = \{1,3,4,6,7\}\)
(2)\(A \cap B\)を求めなさい.
解:共通部分なので,求める共通部分は\(A \cap B=\{3,6\}\)
(3)\(\overline{B}\) を求めなさい.
解:\(B\)の補集合なので,全体集合\(U\)より\(B\)を除いたもの,よって\(\overline{B}=\{2,4,5,7,8,9\}\)
(4)\(A \cap \overline{B}\)を求めなさい.
解:\(A\)と\(\overline{B}\)の共通部分なので,\(A \cap \overline{B}=\{4,7\}\)
問:要素の個数(10〜30として考えると実際に数えることができますね)
\(100\) から \(300\)までの自然数について,次の問に答えよ.
(1)要素は全部でいくつかあるか.
(2)2の倍数はいくつあるか.
(3)7の倍数はいくつあるか.
(4)7の倍数ではないものはいくつあるか.
(5)2の倍数または7の倍数はいくつあるか.
(6) 2の倍数でも7の倍数でもないものはいくつあるか.
【解答】
\(100\) から\( 300\)までの自然数を全体集合として\(U\)とすると,
\(U=\{x| 100 \leq x \leq 300, xは整数\}\)と表現できる.
(1)\(n(U)\)は集合\(U\)に属している要素の個数を表すことにする.
\(n(U) = 300 – 100 + 1\)より
∴\(n(U) = 201\)
(2)2の倍数の集合を\(A\)とする.
\(100 \leq 2 \times N \)を満足する最小の\(N\)は\(N=50\)である.
次に\(2\times N \leq 300\)を満たす最大の\(N\)は\(150\)である.
よって\(N=50 〜 150\)までの\(n(A)=101\)個ある.
(3)7の倍数の集合を\(B\)とする.前問に倣って,\(\displaystyle{\frac{100}{7}\leq N \leq\frac{300}{7}}\)より\(N\)(Nは自然数)の範囲を求める.
(4)\( (Bでないものの個数) = (全体集合 Uの個数) – (Bの個数)\)で求めることができる.
これまでの表記法を用いて\(n(\overline{B}) = n(U) – n(B)\)と記述できる.
(5)\(n(A \cup B) = n(A) + n(B) – n(A\cap B)\)
集合\(A\)の要素数と集合\(B\)の要素数を加算し,共通部分が重なりあって加算されているので\(n(A \cup B)\)を減ずれば良い.
命題と真偽
命題とは『〜ならば,ーである』というように表現された文を言います.ただし,この文が正しいか正しくないかを客観的に評価できるような文でないといけません.「〜ならば」を前提・条件と言い,「ーである」を結論といいます.この前提と結論が数学的に表現(数式で記述)されていると,正しいか正しくないか一意に評価可能ですね.(証明されていないものもあるにはありますが,,,.)命題が正しい場合は「真」,正しくない場合は「偽」といいます.幾つか例を示しておきます.
命題『\(p\)ならば\(q\)』であるという記述を数学では \(p \Longrightarrow q\) と書きます.小文字であることに注意しておいて下さい.
命題の例
\(x\)は実数,\(n=自然数\)とします.
(1) \(x < -4 \Longrightarrow 2x+4 \le 0\)
結論部の不等式を解くと,\(x \le -2\)となり,前提・条件の\(x\)はこの中全て含まれるのでこの命題は真である.
(2) \(p=2n \Longrightarrow q=4n\),言葉で書くと『pが2の倍数ならば,qは4の倍数である.』
2の倍数の集合を\(P\)とすると,\(P=\{p|2n\}=\{2,4,6,8,10,12\cdots\}\)
4の倍数の集合を\(Q\)とすると,\(Q=\{q|4n\}=\{4,8,12,16,20,\cdots\}\)
一般に集合の名称はアルファベットの大文字,要素は対応する小文字で表記する習慣がある.
これより,\(p=6\)の場合はこの命題が成立しないことが見て取れる.よって,この命題は「偽」である.偽を示すためには判例をあげれば良い.
(3) pが4の倍数ならばqは2の倍数である.この命題は\((p=4n) \Longrightarrow (q=2n)\)と書ける.
4の倍数の集合を\(P\)とすると,\(P=\{p|4n\}=\{4,8,12,16,20,\cdots\}\)
2の倍数の集合を\(Q\)とすると,\(Q=\{q|2n\}=\{2,4,6,8,10,12\cdots \}\)
集合の包含関係は\(P \subset Q\)である.このようなとき,命題は真である.つまり\(p\)が成立するときは必ず\(q\)も成立するからである.命題の真を示すためには,集合の包含関係で\(P \subset Q\)を示せば良い.
p_includes_q2-crop「\(p\)ならば\(q\)である」(\(p \Longrightarrow q\)),という命題(文)について
命題が真であるとは
(前提)条件\(p\)を満足するものが条件\(q\)を満足する
命題が偽であるとは
(結論)条件\(p\)を満足するものが条件\(q\)を満たさない
必要条件
・ \(p \Longrightarrow q\) (\(p\)ならば\(q\)である) の真偽
・\(q \Longrightarrow p\) (\(q\)ならば\(p\)である) の真偽
を調べる.
(1) \(p \Longrightarrow q\) が真ならば \(p\)は\(q\)であるための十分条件
条件\(p\)の集合を\(P\)とすると\(P \subset Q\)が成立するときが\(p \Longrightarrow q\)
(2) \(q \Longrightarrow p\) が真ならば \(q\)は\(p\)であるための必要条件
(3) \(p \longrightarrow q\), \(q \longrightarrow p\) がともに真であるとき,\(p\)は\(q\)であるための必要十分条件である.\(q\)は\(p\)であるための必要十分条件である.\(p\)と\(q\)は同値である.
例題 大日本図書新基礎数学 問題集より pp.21 問題114
(1) \(xy=0\)は,\(x=y=0\) のための( 必要 )条件
\(x=1,y=0\)とすると\(xy=0\)を満たすが,\(x \neq 0\)なので(結論が成り立たない),よって\(p \Longrightarrow q\)は 偽である.
一方,\(x=0かつy=0\)ならば\(xy=0\)である.よって\(q \Longrightarrow p\)は真である.
したがって,\(p\)は\(q\)であるための必要条件ではあるが十分条件ではない.
(2) \(x=3\) は,\(x^2=9\)のための( 十分 )条件である.
前者の条件を\(p\),後者の条件を\(q\)とする.
\(p \Longrightarrow q\)は 真 であることは明らかである(集合の図を書けば良い).
p_includes_q_true-crop\(P \subset Q\)なので,\(p\)は\(q\)であるための十分条件である.
Venn図より,\(q \longrightarrow p\)は偽であることが判る.\(x=-3\)の場合がある.
(3)\(x^2 + y^2 =0\)は,\(x=y=0\)のための( 必要十分 )条件である.
前提条件\(p\)は\(x^2+y^2=0\)で結論\(q\)は\(x=y=0\)である.\(x^2+y^2=0\)を解くと\(x=0 かつy=0\)である.それぞれの集合を\(P,Q\)とすると\( P = Q\)よって\(p \Longleftrightarrow q\)は真なので,\(x^2+y^2=0\)は\(x=y=0\)であるための必要十分条件である.
(4)\(2x+y=5\)は,\(x=2,y=1\)のための( )条件である.
前提条件\(p\)は\(2x+y=5\)で結論\(q\)は\(x=2,y=1\)である.
\(2x+y=5\)を解くと\(y=5-2x\)の関係を満足すれば良いのでその組み合わせは無数に存在する.\(P=\{x,y|(-2,9),(-1,7),(0,5),(1, 3),(2,1)\cdots\}\)
よって,\(P \subset Q\)は成立しないが,\(Q \subset P\)は成立する.したがって\(p\)は\(q\)のための必要条件である.
このように集合の包含関係を調べれば良い.お分かり頂けましたでしょうか.
